歌人、吉田兼好は「徒然草(つれづれぐさ)」に書いている。<家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころ、わろき住居(すまひ)は耐へ難きことなり>
 
 冬はどんな場所でも住める。そうでもないぞ、と思いながらも、これだけ暑い日が続くと、家作りは夏向きに、との指摘にうなずくほかない。立秋が過ぎて、いまだ真夏の県内である
 
 兼好の暮らした京都は盆地だ。寒暑の厳しさで知られる。身も凍る底冷えの冬。それでも夏を、と兼好は言う。熱を帯びた空気がよどみ、体にまといつく。セミの声、道行く人は陽炎(かげろう)の中へと消えていく。そんな夏が鎌倉末期にもあったか
 
 ただ、温暖化やヒートアイランドといった言葉の飛び交う現代の暑さは、兼好も想像できなかっただろう。コンクリートで固められた街の夏。もはや冷房なしではやり過ごせない
 
 東京都内の住宅で82、86、90歳の3姉妹が亡くなっているのが見つかった。熱中症で徐々に体力を奪われた可能性があるという。クーラーはあったが使っていなかった
 
 年齢とともに体温の調節機能が衰えがちになる。脱水症状に気付かず、屋内でも発症する人が多くなるそうだ。県内で先月、熱中症やその疑いで救急搬送された人は、65歳以上が半数を超す。今年は世界的な猛暑。秋の声を聞くまでは、熱中症対策をむねとすべし。