目が不自由だったことが、どれほど事故と関係しているのか。不自由でなければ、バックしてくる車をかわせたか。分からないうちから、こんな声が出かねない。「だから、危ないと思っていた」

 盲導犬の啓発に尽力していた徳島市のマッサージ師山橋衛二さんが近くの病院に出勤途中、トラックにはねられて亡くなった。8年間、山橋さんを補助し、あと1週間で引退する予定だった10歳の盲導犬ヴァルデスも死んだ

 盲導犬を連れた視覚障害者の死亡事故は、県内で初めてという。だから、危ないではない。どうすれば歩行者の安全が守れるか。読み取るべきはそんな教訓だ

 身をもって障害者の社会参加の大切さを知る人である。19歳のときに、同乗していた車の事故で失明した。支援学校に通ってマッサージ師となり、盲導犬と歩くようになって約30年になる

 2004年の本紙記事にある。「山橋さんは一人でも多くの人に補助犬の存在を知ってもらおうと、盲導犬を連れていろいろな所へと出向く」

 盲導犬のほかに聴導犬と介助犬。障害者の手助けをする補助犬の同伴を交通機関や宿泊施設、病院や飲食店は拒んではならない。補助犬法成立10年を記念して、国会内であった会合に招かれ「今もたまに入店を断られる」と嘆いたのは3年前。まだ50歳。やり残したことも多かろう。