進学で徳島を離れる前だから、あれからもう随分とたつ。ほんのわずかの間、実家の近所にあった従業員数人の建設会社で働かせてもらったことがある

 その程度の記憶で、偉そうなことを言うんじゃないよ、とプロの方々なら怒るに違いない。それも当然だ。だけども、不思議なのである。一体、あの感動が忘れられるのか

 シャベルで溝を掘る。コンクリートを打つ。基礎ができる。一個一個ブロックを積み重ねていく。そのうち形が見えてくる。体験したのは、単純作業ばかりである。それでも、出来上がった時の気分は最高だった

 ブロック塀は今も平屋の民家を守っている。たまに脇を通ることがあるが、そのたびに胸がじわっと熱くなる。携わった件数が少ないから、新鮮な喜びを覚えていられるのだろう

 くい打ち工事の不正が相次いで発覚している。県立中央病院の改築でもデータの流用があったという。よりによって県民の命を守る拠点施設で、である。安全性に問題はないらしいが、気持ちのいいものではない

 毎日の仕事となれば、いちいち心を動かす暇もなかろう。だが、初めてやり遂げた時は違ったのではないか。その感動に、不正の入り込む余地があるか。「言われなくても」の業界人がほとんどだろう。でも、この際だから言う。建設業の誇りを忘れないでほしい。