明治神宮外苑の美しさは格別だ。イチョウ並木を、ドーム屋根が美しい聖徳記念絵画館に向かって歩き、左に曲がればやがて国立競技場

 紆余(うよ)曲折の末、2020年東京五輪・パラリンピックの夢舞台として、そこに威容を現す新競技場は「木と緑のスタジアム」になった。建築家の隈(くま)研吾氏らの案で和のテイストにあふれる。外苑がどんな雰囲気になるか楽しみだ

 総工費の膨張で白紙撤回されたザハ・ハディド氏の旧デザインは、2本のキールアーチがつくる流線形が特徴。外苑との調和を欠くとの見方もあったが、出来ていれば、結構なじんでいったと思う

 緑豊かな外苑との調和を言うのなら、取り壊された旧競技場もコンクリートがむき出しだった。それでも違和感がなかったのは、東京五輪など数々の名勝負の舞台となった競技場への畏敬の念もあったからだろう。何より、風雪に耐えたあらゆるフォルムを美の一部として取り込んでいく力が、神宮外苑にはある
 
 気に掛かるのは、ハディド氏の事務所が隈氏らのデザインについて、スタジアムのレイアウトなどが旧デザインと似ていると指摘したことだ。詳細な調査を待ちたい
 
 ただ一つ、言えるとすれば、極限に挑む五輪選手の評価に耐えれば新競技場は本物だということか。細部に宿る神を招くのは日本の職人の技と心意気だ。