狐狸庵(こりあん)先生こと、作家の遠藤周作さんの名を最近よく聞く。その名作を映画化した「沈黙 サイレンス」が全国公開されるからだろう

 時代はキリスト教が禁じられていた江戸初期、舞台は長崎。ポルトガル人宣教師が、棄教を迫られた信徒の受難と神の沈黙に苦悩する。信仰によって迫害されているのに、神は救いの手を差し伸べず、黙っているのか…

 ハリウッドの巨匠が、こうした心の葛藤をどう描いたのか、封切りを待つ人たちは多かろう。「沈黙」を残した狐狸庵先生は珠玉の名言もまた残している

 例えば、こんな一節だ。<行きづまり、行きづまって悪戦苦闘の揚句(あげく)、私が茫然(ぼうぜん)としている時、その智慧(ちえ)とも霊感ともつかぬものは不意にやってくることだ。茫然としている時は無意識が作動してくる瞬間なのであり、無意識が働いてくれる時なのであろう>「人生ひとつだって無駄にしちゃいけない」(海竜社)

 きょうから大学入試センター試験が始まる。志願者は57万人余り。誰もが、うん、うんとうなりながら問題と格闘するに違いない。しかし、疲れ果てても放り投げないで。遠藤さん流に言えば、諦めかけた時にこそ答えや言葉が出てくるのかもしれない

 鉛筆の先にこれまでの学びや成果を、無意識をも乗せて、さあ挑もう。狐狸庵先生もその背中を押してくれるだろう。