「ずるい」。漢字なら「狡い」。いかにもずるそうな面構えである。<身をくねらせて、するりと抜けるさま。転じて、ごまかしがうまく、悪賢いさま>と「漢字源」にはある

 狡猾(こうかつ)、狡詐(こうさ)と、この字がつけばろくな意味をなさない。わらべを続けても狡童(こうどう)。悪知恵の働く子どもになる。官吏の吏なら狡吏(こうり)。ずる賢い役人のことである

 吏の字にも多々ある。有能な人をいう能吏、清く正しい廉吏(れんり)なら言うことはない。汚吏、奸吏(かんり)、暴吏となれば読んで字のごとく。古くから役人がどう見られがちだったか、これらの字が示している

 もっとも「吏」は下級役人をいい、上級は「官」ということもあるそうだから、今回は当てはまらないかもしれない。文部科学省の天下りあっせん問題である

 監視委員会の調査に虚偽の報告をし、隠蔽(いんぺい)工作をしたことも明らかになっている。およそ教育をつかさどる役所のすることではなかろう。文科省が作った教材「わたしたちの道徳 小学校三・四年」にもある。<ひきょうなことをしない>

 他の省庁でも、巧みに規制をすり抜ける天下り事例が横行しているともいわれる。省庁と業界のなれ合いは、談合など不正の温床にもなりかねない。いかに優秀でも“狡官”ならいらない。対策は急務。「わたしたちの道徳 省庁版」が必要だ。お手の物だろう。