自慢ではないが、と始まる話が、自慢でなかったためしはない。こういう修辞法を逆言法という。「言うまでもないが」とか「水を差すわけではないが」とか、類例は枚挙にいとまがない

 自慢ではないが、記者は消防団員でもある。先ごろ、地元の消防署で分団の礼式訓練があった。「整列」「右向け右」といった集団行動の練習である。消防組織法に基づく

 本来は90度のところ、45度だけひねる「半ば右向け右」といった、他ではまず聞かない号令がある。指導してくれた消防署員によると、足を動かすポイントは「活発に」である。といっても飛んだり跳ねたりしながら「回れ右」をするわけではない。すんでのところで思いとどまってよかった。消防では元気よくとか、きびきびとかいった意味で使うようだ

 小学生であるまいし、つまらなそう、と感じる向きもあろう。ところが、やればやったで、なかなか楽しい。普段縁がないものだから珍プレーも続出。行進の際、右手右足を一緒に出さずにいられない団員など、毎年、スターが生まれる

 といった訓練もやる。飲んで騒ぐばかりが消防団ではないのである。世代交代も進んで、その類いの話は最近、ほとんど聞かない

 団員の減少が問題になっている。言うまでもないが、消防団は地域防災の要。迷っているなら、ぜひ仲間に。