5年ぶりに東アフリカ、ケニアを訪れた。経済は堅調で、幹線道路沿いには幾つものショッピングモールができていた。政府が掲げる「2030年の中所得国入り」の目標も、あながち不可能ではなさそうだ

 ただ、貧富の格差はさらに広がっている。徳島市出身の松下照美さんが運営する子ども支援のNGO「モヨ・チルドレン・センター」が本拠を置く地方都市ティカ。首都ナイロビから車で1時間ほどのこの街で、シンナーを手に路上で暮らす子どもが増えている

 ブライアンさんは26歳。昨年、松下さんの活動に加わった。5歳で両親を失い、路上で寝起きした経験がある。警察につかまるまでの3年間、酒たばこ、シンナーに薬物、盗み、と一通りの悪事を働いた

 今日を生きるので精いっぱい。明日のことなど考えられなかった。収容された更生施設で「努力して努力して努力した」。援助者にも恵まれ、大学で教師とソーシャルワーカーの資格を得た

 こうしたケースはまれだ。多くは路上に戻り、薬漬けの日々。やがて身体がむしばまれ、二度と立ち直れなくなる子が幾らでもいる

 だから-。「今日の空腹をしのぐためシンナーを吸う子どもたちに、明日の夢を見させてやりたい。この社会を変えたいんだ。情熱は誰にも負けない」。こぶしを胸に当てブライアンさんは言った。