弥生3月、間もなく6年目を迎える。悲しみ、怒り、希望、そんな思いが行きつ戻りつする。東日本大震災後、福島の詩人和合亮一さんは3カ月ほどツイッターで現場の状況を発信し続けた

 そこに何回か出てきた地名に映像作家山田徹さんは心が動いた。福島県浜通り、宮城県に接する新地町。国道沿いの喫茶店を拠点に、東京と新地を往復しカメラを回した。当時27歳の山田さん一人で取材、撮影を進めた

 そうして出来上がったのがドキュメンタリー映画「新地町の漁師たち」。これに寄せて和合さんは書いた。<ある時には気の荒い、しかし人懐こい漁師さんたちと深い笑顔を交わし合っている姿が、フィルムから伝わってくる>

 3日、山田さんと和合さんらによる公開記念コンサートが東京であった。同じ日、和合さんの連載が本紙に載ったのを伝えると、こう返ってきた。「こういう方にこれからも福島を撮り続けていってほしいと願っています。古びない映画だと思います」

 6年という時間をかけて一本の作品を作る大切さ。震災の問題とは「このように時間をかけて向き合うことこそが大事なのだ」と教えられたとも

 「新地町の-」は11日から全国で順次公開される。「徳島でもミニ上映会などできたらうれしい」と和合さん。行きつ戻りつする思いを分かち合いたい、と。