石坂浩二に浅丘ルリ子、八千草薫に有馬稲子、加賀まりこ…。確かな足跡を残す各氏が一堂に会する。昭和の話法を用いれば「豪華スターの競演」といったところか。シニア世代を意識した昼の帯ドラマ「やすらぎの郷」(ABCテレビ)が始まった

 倉本聡さんの提案で実現したという。「北の国から」などで知られる脚本家も、もう82歳になる。「若者向けになってしまったテレビに“シルバー革命”を起こしたい」と意気軒高だ

 舞台は全盛期を支えた“テレビ人”の老人ホーム。家族や財産、恋、死への恐怖といったテーマを軽妙なタッチで描いていくそうだ。たまたま初回を見たが、なるほど落ち着いた時間が流れていた

 若者のテレビ離れが叫ばれて久しい。かといってシニア重視とも思えない番組の数々に、ちぐはぐな印象があった。今回の試みは、むしろ常識的ともいえるのだろう

 難しいのは何を持って「高齢者向け」とするかである。望まれているのはあっさりした物ばかり、とは限らない。ステーキが食べたい人も、少なくないはず。倉本節の今後に注目だ

 いずれにせよ最近は、過激さより、優しさのあふれるドラマが受けている。せめてテレビの中ぐらい、理想や正論が大事にされる世界であってほしい。そういうことでは、と評論家諸氏。世代を問わない願望らしい。