お金に限らず、うまい話はそうはない。たまにはあろうと飛び乗って痛い目に遭った経験があるのは、当方だけでもないはず(と信じる)。「うまい話」は、心の隙間を見つけるのがうまい

 出資法違反の疑いで国際手配されていた山辺節子容疑者=熊本県益城町(ましきまち)出身=が逮捕された。企業への融資を名目に、元本保証と配当金支払いを約束して、全国の70人以上から計約7億円を集めていたとみられる

 配当25%との触れ込みだったそうだ。まずあり得ない水準ではあるが、目の前にぶら下がればどうか。「いかにも怪しい」は、ほとんどの場合、後知恵である。人は、そんなに強くはない。特殊詐欺も「自分だけは大丈夫」と思っている人ほど危ないとか

 <自分の願望や信念を裏付ける情報を重視・選択し、これに反証する情報を軽視・排除する心的傾向>(大辞泉)を「確証バイアス」という。思い込めば、都合の悪い情報は無視してしまう。心はそんな弱さを持っている。「うまい話」の語り部は、そこにつけ込む

 「正常性バイアス」という言葉もある。異常事態に直面しながら、「大したことはない」「自分だけは大丈夫」と危険を小さく考えてしまう傾向のことだ。そこにつけ込むのが、災害である

 災難は、忘れなくてもやって来る。命もお金も、よくよく警戒を怠ることなく。