19世紀も最後の年に英国へ渡った漱石が書いている。「倫敦(ろんどん)塔の歴史は英国の歴史を煎(せん)じ詰めたものである」。テムズ川をまたぐタワーブリッジから眺めての感想らしい
 
 徳島県内には大小500の河川がある。そこに架かる無数の橋も、地域の歴史を煎じ詰めたもの、といえる。川が隔てた生活圏を一つに結ぶ。住民悲願の橋も
 
 1935年に完成した三好市の大川橋はその一例である。土讃線の延伸に伴い祖谷口駅の開設を陳情した際、条件として国は橋の建設を指示。地元の実業家赤川庄八氏が私財をつぎ込み夢をかなえた。コンクリートのつり橋で、古びてはいるが国道32号沿いに健在だ
 
 県によると、とりわけ吉野川の46本は、時々の最新工法を使った個性的な橋がそろう。技術の見本市、「橋の博物館」として売り出し中
 
 池田ダム下流の四国中央橋はさびている。管理の悪さをあげつらうのは気が早い。さびが表面を保護し、塗装のいらない耐候性鋼材を使っているとか。支流に分け入れば、オレンジ色がモダンな銅山川の青雲橋、祖谷川のかずら橋・・・。上流だけでも見どころは多い
 
 ラーメン橋と聞いて頼りない気のする技術音痴の筆者でも、確かに分かる造形美。橋遍路、かなり楽しい。今なら橋のカードも配布中。問い合わせは県道路整備課<電088(621)2547>。