野球独立リーグ・徳島インディゴソックスの雨中の日本一。大変だったのである。選手はもとより、観客も。降雨コールドで試合が終了するまで、中断は1時間以上に及んだ。いくら雨粒にたたかれても、「早くやれ」のヤジ一つ飛ばさず、ファンはじっと待っていた

 球場に引き寄せられるのはなぜか。かっぱを着込んだ女性に聞いた。きっかけは職場でもらった1枚の入場券だそうだ。「野球には縁がなかったけれど、初めてのその日が大逆転試合。こんなに面白いのかと、それから夢中になった」
 
 60歳も過ぎ、2年前に会社を退職してからは、夫婦で足を運んでいる。静かに観戦するのが好きな夫に代わって声を張り上げ、夢を追い掛ける選手を後押しする

 この日、対戦相手の信濃グランセローズ側のスタンドには十数人。遠く長野市から駆け付けた応援団や市職員が懸命に声援を送っていた。選手に夢をつかんでもらいたい。敵味方なくファンの思いは通じ合う。球場を包むこの一体感がいい、と女性

 ひいきは最優秀選手になった伊藤翔投手。「上に行くかもしれんね。寂しいけど、それが独立リーグの定め。あの子らのためだから」。子の行く末を見守るように言った

 日本一の偉業も通過点の一つ。熱心なファンに支えられ、「あの子ら」は26日、プロ野球ドラフト会議に臨む。