交通誘導を担う警備員。人手不足が深刻化している=徳島市内

 徳島県内の外食や警備、建設などの業種で人手不足が深刻化している。求人が求職者を大きく上回る空前の「売り手市場」で選択肢の広がった求職側が、仕事のきつさや賃金の低さから敬遠しているとみられる。そうした業界では時給アップなどの対策に乗り出しているものの、効果は少なく、厳しい状況は当分続きそうだ。

 徳島労働局によると、昨年11月の県内の有効求人倍率は1・40倍で過去最高を記録した。業種によって大きな開きがあり、一般事務が0・44倍なのに対し、飲食物給仕8・14倍、警備6・80倍、建築・土木・測量技術者4・24倍などとなっている。

 交通誘導の警備業17社でつくる県警備業連絡協議会の西浦英樹会長は「景気が上向き、各業種の採用が増えたことで真っ先に打撃を受けた」と話す。外で立ちっ放しの上、車両が行き交う現場で危険も伴う割に賃金が低いことが要因とみる。

 西浦会長が経営するユニテック(徳島市)の従業員数は40~60代の10人。仕事の依頼は年々増えているものの「全てに対応するには40~50人は必要で、断ることも多い」と明かす。時給を上げても、採用の問い合わせはほとんどないという。

 建設業では、長く続いた建設不況で採用を手控えたため、働き手の高齢化が進んでいる。県建設業協会によると、特に建築士など資格取得者が定年退職した後、新たな有資格者を確保するのが難しい。小島祥圓常務理事は「協会を挙げて社会貢献事業を進めるなど、長い目でイメージアップにつなげていくしかない」と話す。

 外食や小売りには、徳島市に今春できるイオンモールの求人開始に伴う人材流出を懸念する声が少なくない。

 お好み焼きやラーメン店など11店を経営するイドム(小松島市)は、給仕と調理のパートをぎりぎりの人数で回している。イオンへの転職を防ぐため、同社は昨年春から時給を70~100円上げた。

 後藤眞人社長は「給仕はレジや泥酔客への対応など仕事が多く、調理も経験が必要なので、なり手は少ない」と言う。同社は新たな働き手を紹介した従業員に報奨金を払ってきたが、昨年11月からは紹介された側にも払うことにした。

 徳島労働局によると、イオンから昨年9~10月に出された求人389人のうち、11月末時点で9割以上が埋まった。パート勤務となる徳島市の40代女性は、子どもが急病のときに休めるなど福利厚生面の充実ぶりが決め手になったという。

 徳島経済研究所の蔭西義輝上席研究員は、人口減少で今後はどの業種も人手不足が深刻化するとし「各企業は人員確保にもっと知恵を絞っていく必要がある」と指摘している。