不確かで一方的な主張が歴史的事実として刻まれている、との吉村洋文大阪市長の言い分はもっともだ。しかし、抗議の方法は考え直した方がいい。米サンフランシスコ市が、慰安婦問題を象徴する少女像の設置を受け入れた問題である
 
 大阪市によると、像の碑文には「旧日本軍には性的に奴隷化されたアジア・太平洋地域13カ国の何十万もの慰安婦がおり、そのほとんどが捕らわれの身のまま亡くなった」との内容がある
 
 旧日本軍が慰安婦を利用したのは否定のしようがなく、批判を受けるのは仕方ない。ただし、虚偽の事実を流布しようとする試みには反論の余地がある。吉村市長の怒りは理解できるが、だからといって姉妹都市の提携解消を持ち出すのはあまりにも拙速ではないか
 
 解消して像が撤去されるなら、そんな方法もあり得るが、そうはなるまい。関係が途絶えても像は残り、抗議をしようにも、もはや当事者ではなくなる。大阪市議会の自民、公明両市議団が主張するように、交流を続ける中で解決に努めるのが賢明だろう
 
 提携解消を誰が喜ぶか想像してみればいい。像建立が仮に日米親善にくさびを打ち込むためだとすれば、狙い通りに運ぶことになる
 
 大体、60年もの交流の歴史を、一市長の判断で葬り去っていいものか。それは違うんじゃないの、と申し上げたい。