政治家も人の子だ。うっかりした失言や放言なら、謝って済むこともある。だが、人種や民族を侮辱するような発言は撤回しても、人の心から消えない

 「何であんな黒いのが好きなんだ」。自民党の山本幸三前地方創生担当相がアフリカ支援活動ついて放った言葉だ。抗議の声はやみそうにない

 肌の色への愚かな偏見がデジャビュ(既視感)を呼び覚ます。「アメリカは黒人、メキシコ人、プエルトリカンとがいて(知識水準が)低い」。1986年、当時の中曽根康弘首相の失言は海の向こうまで波紋を呼び、米国民に陳謝のメッセージを発表して収拾した。それから30年余り。政治家の進歩は牛の歩みを思わせる

 宮中晩さん会に関して「(国賓の)パートナーが同性だった場合、どう対応するのか。私は(出席に)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」。これは竹下亘自民党総務会長。多様な生き方を尊重する時代の潮流をどう考える

 戦後、日本人を「12歳の少年」と評したのはマッカーサー元帥だった。いつの時代も、優越感を持って国民や性別を軽んじる人の心に愚者の顔を見る

 「最も偉大な政治家は、最もヒューマンな政治家である」は19世紀のドイツの唯物論哲学者フォイエルバッハの箴言(しんげん)。寒風吹く師走。心にぬくもりを与える品格ある政治家の言葉は聞けないか。