寒さが続けば、予期せぬことが起きる。空き家の水道管の破裂だ。長らく誰も住んでいない実家がそうだったが、懇意にしている隣人の機転で事なきを得た。ありがたきは、隣近所の「目」である

 寒さは体の熱を奪う。先月末のこと、東京の大学病院に意識のない80代の女性が運び込まれた。体の深部の温度が26度まで下がったショック状態。近所の人が自宅を訪ねると、意識がもうろうとしていた―と本紙で読んだ

 体の深部が35度以下になって全身に障害が起きる症状、低体温症の一例である。1人暮らしで認知症の症状がある人だったというが、こうした高齢者が、身近にいないだろうか

 統計が物語る。熱中症はよく語られるが、死者の数は低体温症による死亡(凍死)の方が多い。1・5倍にも上る。大半は高齢者で、孤立や貧困が横たわっているようだ。このところ、寒さが少し緩んではぶり返す。寒波に北も南もない。四国でも九州でも雪が降る

 ふと思い出すのは、哲学者鷲田清一さんの話だ。移住する若者らが地域に溶け込むにはと聞いたところ、「見て見ぬふりをするのではなく、見ないふりをしてちゃんと見ているような地域のまなざしが必要」と返ってきた

 寒さに震えてはいないか。体の具合はどうか。怪しい電話は入っていないか。地域を見守る一人でありたい。