急傾斜地農法独特の農具を試す武内委員長(手前)ら=つるぎ町一宇

 農林水産省の世界農業遺産等専門家会議は12日、つるぎ町などで「にし阿波の傾斜地農耕システム」の現地調査を行った。視察後、武内和彦委員長(国連大学上級副学長)は「素材としては一定の評価ができる」と印象を語った。2月下旬に都内で行うプレゼンテーションを経て、3月末には世界農業遺産の国内候補と日本農業遺産の認定地域が決まる。

 武内委員長と農水省の職員5人が、美馬市穴吹町やつるぎ町一宇の急傾斜地畑など5カ所を訪問。「徳島剣山世界農業遺産推進協議会」の会員から、カヤを敷き詰めて土壌流出を防ぐ農法の説明を受けたり、流れ落ちた土をかき上げる「サラエ」という農具を実際に試したりした。

 調査には住民も同行し、そば米雑炊やみそ田楽といった郷土料理を振る舞ったほか、五穀豊穣を祈る伝統行事「お亥の子さん」も披露。県西部の傾斜地農法が、人々の暮らしに根差していることをアピールした。

 武内委員長は「人と自然の関わり方の良い事例で、傾斜地という自然条件に適応してきた人の営みだということがよく分かった」と話した。

 農業遺産には、徳島など15県19地域の応募があり、1次審査を通過した9県10地域で今月末まで現地調査が行われる。