大歩危峡の舟下りを楽しむ香港からの観光客=三好市の吉野川

 2016年に三好市大歩危・祖谷地区の主な5ホテルで宿泊した外国人は、前年比50%増の1万4828人に上り、初めて年間1万人を超えた。特に香港の旅行者の伸びが大きく、官民一体となった誘客や円安効果に加え、高松空港発着の格安航空会社(LCC)の定期便就航も追い風になった。

 大歩危・祖谷地区のホテル5社でつくる「大歩危・祖谷いってみる会」によると、前年比で50%を超える伸びは5年連続。同会が県や三好市と協力して外国人誘客活動を始めた07年の546人に比べると、宿泊者は27倍となった。

 宿泊者の大半は個人客で、国・地域別では香港が前年比66%増の8057人で全体の54%を占めた。次いで台湾の1671人、中国の958人、米国の908人。月別では3、4、7~12月で千人を上回り、紅葉シーズンの11月は月間で初めて2千人を上回った。

 同会などはこれまで香港や台湾、米国、オーストラリア、シンガポールに出向き、旅行会社や地元メディアにPR。旅行誌に掲載されたり、日本を訪れた人が会員制交流サイトで発信したりしたことも知名度を押し上げた。円安傾向のため、「日本旅行はまるでバーゲン」ともささやかれているという。

 高松空港に16年7月、四国で初めてとなる香港との定期便が就航したことも、旅行者の増加につながった。香港から三好市を訪れた揚家敏さん(30)は「ここに来るまで、半日かからなかった」と話した。

 一方、同地区の観光施設で一番人気だったのは祖谷のかずら橋。16年は前年比40%増の4万303人の外国人が訪れ、過去最多を更新した。大歩危峡の舟下りも25%を外国人が占め、「日本人が減った分を外国人が補ってくれた」(同会)。四国交通(三好市)が運行するボンネットバスは乗客の60%程度、同地区のタクシー会社3社も乗客の約半数が外国人という。

 大歩危・祖谷いってみる会の植田佳宏会長=ホテル祖谷温泉社長=は「今後は大荷物を駅からホテルに届けるサービスなど、きめ細やかな配慮も求められてくるだろう」と話している。