高開さん(右)の説明を受けながら、石積みを視察する熊本県職員=吉野川市美郷大神

 熊本地震で崩落したミカン畑の石積みの修復支援に当たる熊本県職員2人が25日、吉野川市美郷大神の「高開の石積み」を視察した。被災農家向けの修復マニュアル作りの参考にするためで、ベテランの石積み職人から崩れにくい積み方などを聞き取った。300年以上前に築造され、独自の景観を保持する石積みを支えてきた「高開の技術」が被災地復興を後押しする。

 視察したのは、熊本県県央広域本部農業普及・振興課の塩貝執(まもる)課長補佐ら。長年地元で石積み修繕に取り組む高開文雄さん(83)=同市美郷大神=から、安定して崩れにくい構造などについて説明を受けながら、見学した。

 塩貝さんらは、平らな石が中心の大神地区とは異なり、熊本で崩落した石積みには丸い花こう岩が多く使われていることを説明。高開さんから「丸い石の場合は勾配を緩くし、反らせることで耐久性が増す」などとアドバイスを受けた。修繕中の現場では実際に作業も体験し、メモを取ったり、写真撮影したりしていた。

 塩貝さんは「石積みの細部まで見ることができ、修復に必要な知識を多く学べた。徳島で得た技術を参考に、マニュアルを仕上げたい」と話した。

 昨年4月の地震で、ミカン栽培が盛んな熊本市西部では、段々畑の石積み2千カ所以上が崩落。復旧が急がれる一方、高齢化などで修復技術を持つ農家が少ないため、熊本県は修復マニュアルなどを作成し、農家を支援することになった。

 高開で石積み修繕に携わった経験のある専門家の紹介で、視察が実現した。今回の修復マニュアル作りで視察するのは高開のみ。

 高開さんは「地元の石積み技術が役立つのはうれしい。一日も早い被災地の復興につなげてほしい」と話した。