お寺カフェで住民らと談笑する日和田副住職(左端)=吉野川市山川町の醫光寺

 吉野川市山川町久宗の醫光(いこう)寺が、檀家以外の住民にも寺に親しんでもらおうと、境内に喫茶スペース「お寺カフェ」を開設した。ティータイムを楽しみながら、仏事や日常の悩み事の相談に乗ってもらえ、利用料は「さい銭」で支払う。カフェ感覚で気軽に立ち寄れる交流拠点として、地域のにぎわいづくりに一役買っている。

 本堂に隣接する居住スペースを改修・増築した約70平方メートルに、40席を確保。抹茶、コーヒー、和菓子などを提供している。醫光寺は高越山麓の高台に建っており、眼下に広がる町並みや清流・吉野川の眺望も楽しめる。

 カフェでは、日和田慈海(じかい)副住職(38)らが「葬式やお墓はどうすればいいのか」「人間関係がうまくいかない」といった疑問や悩みにも答える。料金は設定しておらず、「代金はお心ばかり」と書いた張り紙とさい銭箱が置かれている。

 昨年4月の開設後、聞きにくいことでも気軽に相談できると口コミで評判を呼び、今では月平均30人前後が訪れている。近くの杉友節子さん(61)=農業=は「お寺でも、カフェだと聞くと行きやすい。お墓の管理やご先祖の供養の相談をはじめ、身の回りの話を聞いてもらえるのはありがたい」と歓迎する。

 過疎化や少子高齢化に伴う檀家の減少で、厳しい環境にさらされている寺院も多い。そんな中、日和田副住職は都内での勉強会などに出席するなどして、寺の生き残り策を模索。かつて地域の寄り合いや学びの中心的役割を担っていた寺の機能を復活させ、人が集う場所になればとカフェ開設を思い立った。

 今後は寺の行事に加え、音楽演奏会などのイベントも増やす予定。日和田副住職は「子どもからお年寄りまでが楽しめる場を提供し、地域のコミュニティーづくりに貢献できれば」と話している。