徳島県警は精神科医らと連携し、ストーカー行為をした加害者に医療機関の受診を促す取り組みを始めた。県警に摘発されても、ストーカー行為に歯止めがかからないケースがあるためで、医師や臨床心理士のカウンセリングなどを通じて再犯や事件の深刻化を防ぐ。

 県警がストーカー規制法に基づく警告を出したり、逮捕したりしたものの、被害者に対する執着心や支配欲が依然としてみられる加害者が対象となる。

 警察官は加害者本人の同意を得た上で、精神科医や臨床心理士に加害者の状態を伝え、対処法についてアドバイスをもらう。治療やカウンセリングが必要と判断されれば、加害者に受診を促す。治療期間中も医師らから状況を確認しながら、加害者に対応していく。

 医師から警察官へのアドバイス料は公費で支出する。県警は2016年度分の予算に約30万円を計上した。治療費は加害者の自己負担。

 県警によると、ストーカー被害の相談件数はここ10年ほど、年200件前後で推移している。2016年は相談が151件で、摘発は11件だった。

 ストーカー事件は殺人などの重大な被害を引き起こすことがある一方で、県警の摘発が抑止力にならないケースもある。徳島地裁で昨年12月に実刑判決を言い渡された30代の女は、1年半前に同じ男性へのストーカー行為で実刑判決を受けていたのに中傷メールを送り続けた。同月に実刑判決となった60代の男も服役後に再び同じ女性に付きまとっていた。

 県精神神経科診療所協会の今井幸三会長は「被害者の言い分や周囲の制止の呼び掛けを聞かない加害者には、心理や医学の専門家による対応が不可欠。今回の県警の取り組みを含めて、さまざまな角度から抑止方法を考える必要がある」と指摘する。

 県警少年女性安全対策課の生原敬課長は「精神医学的なアプローチも使い、被害がエスカレートしないように対応していきたい」と話している。