真剣な表情で石積みに取り組む参加者=上勝町旭の市宇の棚田

 上勝町地域おこし協力隊の金子玲大さん(28)=同町旭=が、傾斜地で農地を確保するために築かれた石積みの技術を伝える「石積み学校」を始めた。大学時代に石積みについて研究した経験から、農山村の景観を守ろうと企画。昨年12月から上勝町旭の「市宇の棚田」で学校を開き、全国から集まった若者が継承者の少なくなった技術をつないでいる。

 1月21、22の両日に開いた学校には、大阪、千葉、島根など7府県から、学生や庭師ら20~40代の11人が参加した。土地の持ち主の植松時寛さん(86)から教わり、棚田の崩れかかった部分(高さ70センチ、幅11メートル)などで作業。ハンマーで石を削って、さまざまな大きさの石を積み重ね、強度を高めた。

 千葉県船橋市の坂元泰平さん(23)=法政大大学院=は「人の手による地道な作業は大変だが、生活の中にこうした技術が残っているのが新鮮だった」と感心していた。

 金子さんは京都市出身。早稲田大で土木について学ぶ中、石積みに興味を持った。東京工業大大学院の真田純子准教授が県内で開く「石積み学校」やワークショップに参加し、吉野川市美郷大神の「高開の石積み」に通って研究した。

 早大大学院を修了した後、建設コンサルタントとして働いたが、石積みに関わりたいとの思いから2016年春に退職。上勝で棚田のオーナー制度に参加していた縁もあり、同6月に協力隊となった。

 現在も石積みの調査や技術者への聞き取りを行い、学会での論文発表を続けている。上勝町で石積みの技術を知る人は多くが80代以上。崩れかかった耕作地を修復する際は、業者に依頼してコンクリートで固める人が増えているという。

 「棚田の美しい景観を残すためにも、石積みの技術を守っていきたい」と金子さん。技術を伝えるきっかけができればと、昨年12月17、18の両日、「市宇の棚田」で初めて学校を開催。県内外から18人が参加した。

 今後は、町外でも学校を開く予定。金子さんは「何回積んでも工夫の余地がある。若い人にも楽しみながら参加してもらい、耕作放棄地対策につなげたい」と熱意を語った。