徳島県警は、通販サイトを装って金をだまし取る「偽サイト」の被害を食い止めようと、海外サーバーを利用した偽サイトの情報をサイバー犯罪対策の国際団体や情報セキュリティー会社に報告している。各団体は情報を基に、偽サイトにアクセスしようとするインターネット利用者のパソコン画面に警告を表示し、偽サイトの被害拡大の防止につなげている。これまでに県警が報告した偽サイトの数は2700件を超えた。

 偽サイトの情報提供は他の都道府県警と共に警察庁を通じて行っており、2013年12月に開始した。当初はウイルス対策ソフトを開発する情報セキュリティー会社への報告だけだったが、16年7月からは、米国に本拠を置く国際団体「アンチ・フィッシング・ワーキング・グループ(APWG)」にも提供している。

 APWGと連携したことで、従来はウイルス対策ソフトを入れたパソコンにしか警告文を出せなかったのが、同ソフトを使っていないパソコンにもウェブブラウザーから警告文を出せるようになり、より多くのネット利用者に注意を促せるようになった。

 県民からの被害相談を端緒に県警が情報提したサイト数は14年に29件だったが、15年に1313件、16年は1400件と増えている。捜査員が偽サイトの傾向を分析し、同じ商品画像や管理人名、電話番号などを使った関連の偽サイトを芋づる式に発見するようにしたことが大きい。

 県警生活環境課によると、犯行グループは何百もの偽サイトを次々に立ち上げて使い捨てる。海外のサーバーが使われることが多く、捜査には時間がかかる。このため、ソフトで警告を出して利用者の閲覧を止めることが被害防止への有効な手段となっている。

 同課の担当者は「被害抑止を最優先に考えた対応を取っている。被害に遭った場合はサイトのURLを県警に伝えてほしい」と話している。

◎団体との連携 県警の働き掛けで実現

 APWGと連携した偽サイトの被害防止対策は、徳島県警の働き掛けで実現した。県警生活環境課はこの取り組みが評価され、警察庁長官賞を受賞した。

 生活環境課は2015年、増え続けている偽サイトの特定に集中的に取り組んだ。その中で、集めた情報を情報セキュリティー会社に提供するだけでなく、もっと広く活用できないかと考えた。

 同年5月にスペインであったサイバー犯罪対策の国際シンポジウムに参加した県警捜査員が、偽サイトをデータベース化してウェブブラウザーでブロックするAPWGの取り組みを聞いていたことから、同団体の協力を得ることを検討。つながりのあったアジア地区担当者とやりとりを重ねた。

 APWGから内諾を得た段階で警察庁に了承を求めたところ、同庁が全国的に取り組むべきだと判断した。同庁とAPWGで最終的な協議をし、16年7月から同団体への偽サイトの情報提供が始まった。

 APWG 米国に本拠を置く、国際的なサイバー犯罪対策の非営利団体。設立は2003年。インターネット関連企業をはじめ、政府機関や大学、金融機関など2千以上の団体が加盟している。偽サイトやフィッシングサイトをデータベース化して情報共有したり、研究者を育成したりして、被害防止に取り組んでいる。