国の公文書管理に関する新たな指針の運用が、4月から始まる。森友、加計(かけ)学園問題で、各府省のずさんな文書管理の実態が厳しく指摘されたことを受けての措置だ。
 
 最大の焦点は、新指針の運用により、各府省の文書管理態勢が適正なものに改善されるかどうかである。
 
 残念ながら、行政側に都合の悪い文書が破棄される可能性は一掃されておらず、実効性のある再発防止策とは言い難い。政府は、さらなる改善策を検討すべきだ。
 
 新指針では、行政の意思決定過程を検証する上で必要な文書は「原則1年以上」保存すると明記し、その上で保存期間を「1年未満」に指定できる具体例も示した。
 
 森友問題を巡っては、異例の値引きが行われた国有地の売却記録を、財務省が「1年未満」に分類していた。こうした事態を防ぐ上で、保存期間を定める際の要件を示したのは一歩前進と言える。
 
 しかし、どの文書を「1年未満」とするかは、従来通り各府省に委ねられる。これでは、分類が適正かどうか、チェックする手だてがない。
 
 さらに「1年未満」の具体例に、職員間で行う定期的な業務連絡の記録や日程表が含まれた。日程表の中には、意思決定過程を検証する上で重要な文書も少なくない。それだけに、文書管理の判断基準として妥当なものかどうか疑問が残る。
 
 言うまでもなく、公文書は主権者である国民の財産であり、その適正な管理と徹底した情報開示は民主主義を支える土台だ。「証拠となる文書は破棄したけれど、判断は正しかったと信じてほしい」は到底通用しない。
 
 「どの記録が重要文書なのか」についても、時間を経て明確になる場合がある。各府省には、短期的な視点で取り扱いを判断せず、一定期間を経た上で決定する仕組みを構築するよう求めたい。
 
 そもそも公文書は、行政が決定した各種政策の公平性や妥当性を証明するための記録だ。政府は、国民への説明責任を果たすためにも、各府省の管理態勢を外部からチェックする第三者機関の設置を検討すべきである。
 
 加計問題では、内部文書の真偽に関して内閣府と文部科学省の言い分が真っ向から食い違うなど、あきれた文書管理の実態も表面化した。
 
 これに対し新指針は、政策立案や事業実施に影響する打ち合わせ記録などを作成し、可能な限り出席者に発言内容を確認するとした。
 
 確かに、この手続きが徹底すれば文書の正確性や整合性は保たれ、後のトラブルも回避できそうだ。だが、そうした作業が行政側に不都合な記録を残さないという結果を招くとすれば問題である。
 
 国の重要政策に対して検証機能が働かない政治の行き着く先は、果てしない無責任体制か独裁体制だろう。政府はそれを肝に銘じ、不断の見直しを進める必要がある。