徳島県西部2市2町の急傾斜地農法「にし阿波の傾斜地農耕システム」が、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定された。
 
 厳しい立地条件にある中山間地の伝統農法が、世界的な評価を受けたことを喜びたい。
 
 この農法では、斜度40度にも及ぶ急傾斜地を棚田や段々畑にせず、作物を育てる。土壌が流出しやすいため、カヤを土にすき込むほか、畝と畝の間に敷き詰める。畝を等高線に沿う形で作って、水を保つ仕組みだ。
 
 急傾斜地は棚田などに比べて表面積が大きい利点があり、ソバやキビなどの雑穀、白菜、大根などの野菜も栽培している。
 
 流れ出た土をかき上げる「サラエ」や、畑を耕す「テンガ」といった独自の農具も活用してきた。
 
 世界農業遺産では、土地や水管理の独自性も認定基準だ。急傾斜地で工夫を凝らし、後世に評価されるシステムを残した先人に、敬意を表したい。
 
 注目すべきは、つるぎ町の職員が、地域の風土に根差した農法の価値を再認識して、世界農業遺産の認定に向けた活動を始めたことだ。
 
 4市町は2014年に認定を目指し取り組みを開始。昨年3月に国内候補地になり、国内版の「日本農業遺産」にも認定された。最近は、定年退職者やUターン者ら新規就農の動きも活発になってきた。
 
 掘り起こした足元の遺産は地域の光となった。認定を、農業後継者の確保や観光客誘致など地域活性化の弾みにしたい。