被災地の復興には、そこで暮らす人たちの力が欠かせない。だが、被災市町村は人口流出に悩んでいる。

 大震災前から1割以上、人口を減らしているのは、大きな被害に遭った岩手、宮城、福島3県の42市町村のうち、24市町村と半数超だ。

 きょうで7年になるが、今なお全国で避難生活を続けている人は約7万3千人に上る。期間が長くなれば、避難先で生活基盤を築く被災者は多くなる。体調悪化や、家族のさまざまな事情などで、地元に戻りたくても戻れない人もいよう。

 ただ、こうした状況が続けば、地域の再生はおぼつかない。何とか打開策を見いださなければならない。

 津波被害の大きかった沿岸部は、特に高い人口減少率を示している。岩手県大槌町、宮城県女川、南三陸、山元の各町などだ。

 浸水を防ぐ土地のかさ上げなどは、住民が戻ってくるのを前提に行われている。

 このうち、大槌町の役場がある中心部の「町方地区」は、土地区画整理事業により再生を進めてきた。計画では、地区に住むのは2100人だが、戻る意向を示した人は、昨年7月時点で1155人だという。かつてのようなコミュニティーの復活はたやすくない。

 住宅再建の前提となる宅地造成の計画も、縮小せざるを得なくなっている。今年1月末時点の計画数は、3県で計1万8336戸と、当初より1万戸近く減った。

 もとより、東京電力福島第1原発事故が起きた福島県では、全町避難が続く双葉、大熊両町を含め、7町村で70%以上減っている。

 人口流出とともに、深刻なのは医師不足だ。3県の沿岸部では震災前から、人口10万人当たりの医療機関に従事する医師数が全国平均を下回ってきた。

 今も医師を確保する有力な手だてがないのが現状だ。2016年末時点の全国平均240・1人に対して、岩手県の釜石保健医療圏は145・8人、宮城県の旧気仙沼医療圏は136・5人、福島県のいわき医療圏は161・0人だった。

 岩手、宮城両県では被災した病院や診療所の大半が再開し、福島県でも進みつつある。しかし、肝心の医師不足が解消しなければ、古里に戻るのを、ためらう人もいるはずだ。

 介護現場も人手不足が目立つ。とりわけ、原発事故による避難指示が解除された地域では、65歳以上の高齢者が4割を超すが、十分なサービスが提供できていないという。

 医療や介護などの専門職の不足は、生活基盤を揺るがすだけでなく、高齢者らの不安も高める。

 地元に戻ろうとする人を後押ししていくためにも、政府は、人材不足にしっかりと対応しなければならない。