東京電力福島第1原発事故は発生から7年が過ぎたが、廃炉の行方は不透明である。
 
 事故では、1~3号機で深刻な炉心溶融が起きた。強い放射線を出す溶融核燃料(デブリ)が、手つかずのまま残されている。
 
 3基で炉心溶融が起きた原発の廃炉は、世界でも前例がない。人体に極めて有害なデブリを安全、確実に取り出すのは困難が予想されるが、廃炉作業を軌道に乗せなければならない。
 
 政府と東電は2019年度に、初めてデブリを取り出す号機と詳細な工法を決め、21年に始める予定だ。
 
 東電は今年1月、2号機の原子炉格納容器の底部に燃料集合体の一部が落下しているのを確認し、周辺の堆積物をデブリと断定した。
 
 昨年7月には、3号機の格納容器の調査で、デブリの可能性が高い物体があることが初めて確認された。
 
 このため、2号機か3号機で、初の取り出しが行われる可能性が高い。デブリの詳細な状態を把握するというハードルを越えた上で、高度な遠隔操作装置の開発が必要となろう。放射性物質の飛散を防ぐ措置にも万全を期さなければならない。
 
 政府は昨年9月、廃炉に向けた中長期ロードマップ(工程表)を改定した。「30~40年後の廃炉完了」は維持したが、主要工程の目標時期の見直しが相次いだ。1、2号機のプールに残る使用済み核燃料の取り出し開始時期を、20年度から「23年度めど」に遅らせた。
 
 政府は、見通しの甘さを反省すべきだ。初めから無理な目標を定めるのではなく、一歩ずつ前に進めることが大切である。危険な放射線対策が求められる廃炉作業に、失敗は許されない。
 
 もう一つの大きな課題は汚染水対策だ。原子炉建屋に流れ込んだ地下水は、デブリに触れるなどして高濃度汚染水を増やす原因になっている。
 
 東電は、1~4号機の建屋周辺の地盤を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」を稼働させた。
 
 地下水を迂回(うかい)させて海に流す「地下水バイパス」などと合わせると、汚染水の発生量は、凍土壁が完成する前の4分の1以下に減った。
 
 ただ、汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)には、水と性質が似ている放射性物質のトリチウムを除去できない難点がある。
 
 しかも、汚染水などを保管する地上のタンクの容量も限界に近づきつつある。
 
 原子力規制委員会は東電に処理水を希釈して海洋放出するよう促してきたが、風評被害を懸念する地元の漁業関係者らは反対の立場だ。
 
 東電はようやく廃炉の糸口を見いだしたが、作業を円滑に進めるためには、十分に説明責任を果たす必要がある。 厳しい目が注がれているのを忘れてはならない。