急傾斜地農法の特徴などについて意見を交わしたシンポジウム=つるぎ町農業構造改善センター

 国連食糧農業機関が認定する「世界農業遺産」の国内候補地決定が今月末に迫る中、徳島剣山世界農業遺産推進協議会は4日、つるぎ町貞光の町農業構造改善センターでシンポジウム「傾斜地の土壌を活(い)かす-伝統的な技術と可能性」を開いた。町内外から約70人が参加し、山がちな風土に根差した急傾斜地農法の特徴や魅力を学び、国内審査通過への期待に胸を膨らませた。

 農業・食品産業技術総合研究機構の山本博フェローが「にし阿波の地形と農業利用について」と題して講演。急傾斜地の成り立ちや畑に敷き詰めるカヤ(ススキ)の効果、土壌の成分などを説明し「西日本でも特別な存在で、興味深い傾斜地だ」と話した。

 同機構西日本農業研究センターの中元陽一上級研究員は、土揚げ機や除草機といった急傾斜地でも使用できる農機具を紹介。町地域おこし協力隊の泉直亮(なおすけ)さんは「農業遺産に認定されることで住民が誇りを持ち、農法の継承にもつながる」と強調した。

 講演者3人に、同町一宇剪宇の農業古城幸男さん、篠原尚志・推進協事務局長(同町商工観光課長)が加わったパネルトークもあった。

 傾斜地で長年農業を営む谷ユリ子さん(76)=同町貞光吉良=は「カヤを敷き詰めることの効果が学術的に分かった。傾斜地での農業を残すためにも、農業遺産に登録されてほしい」と話した。

 県西部2市2町が申請した「にし阿波の傾斜地農耕システム」は1次審査通過後、現地調査や都内でのプレゼンテーションを終えており、今月末にも世界農業遺産の国内候補地が決まる。