簀桁を使って和紙を漉く中村さん=那賀町拝宮

 那賀町拝宮(はいぎゅう)地区に伝わる拝宮和紙作りが、手漉(てす)き和紙職人・中村功さん(69)の工房で最盛期を迎えている。

 和紙作りは気温が低いために雑菌が少なく、接着の役割を担うノリウツギの粘り気が出やすい冬場に行う。中村さんは「漉き舟」と呼ばれる木製の水槽にコウゾの繊維と、ノリウツギなどを溶かした液を入れた後、「簀桁(すげた)」ですくって縦横に振って繊維をからませ、均等な厚さに仕上げている。

 拝宮地区では戦後、60軒ほどの農家が副業として障子紙を製造していたが、需要の減少や高齢化で衰退。現在、紙漉き場は2軒だけになっている。

 今月初めから始まった作業は月末まで続けられ、障子やふすま用の和紙(幅1メートル、縦約60センチ)約2千枚などを漉く。中村さん自身が県内外で展示会を開き、和紙を販売する。

 中村さんは「原料の確保は大変だが、拝宮地区に注目してもらうため、和紙を作り続けたい」と話している。