刑務所を出所した人たちの社会復帰を支援するNPO法人をつくった吉﨑さん=徳島市八万町中津浦の自宅

 刑務所を出所した人や暴力団などの反社会的組織を脱退した人の社会復帰を支援するNPO法人「轍」(徳島市)が設立された。理事長には元受刑者の吉﨑恵三郎さん(50)=同市八万町中津浦、卸売業=が就き、出所者らに再び罪を犯すことのない人生を歩んでもらうため、就職先や住居の紹介などをする。吉﨑さんは「彼らの立場や気持ちを理解できるのが強み。そうした経験に基づく支援をしたい」と言っている。

 スタッフは11人で、うち吉﨑さんを含む3人が暴力団を脱退した人や薬物依存経験者。既に県内の土木・建築業や運送業、食品製造業者などに雇用協力を依頼しており、出所者らの経済的自立を支援するほか、犯罪被害者からの相談にも応じ、必要な支援が受けられるよう助言する。

 4月から電話相談窓口を開設し、本格的な活動を始める。事業が軌道に乗るまでの間は有料(10分500円)とするが、将来的には寄付や協賛企業を募り無料にする予定。

 吉﨑さんが設立を考えたきっかけは、1年前に通っていたタイ古式マッサージ店の20代女性店員から「覚醒剤を手に入れて譲ってほしい」と頼まれたことだった。女性の周辺には犯罪歴の影響で仕事を見つけられず、収入を得るために覚醒剤を売買していた出所者らがいたのではと考え、自身の経験を彼らの社会復帰に役立てる方法はないかと思案していた。

 小松島市の活性化イベントで知り合ったイベント主催者の松﨑浩文さん(51)=小松島市中田町、自営業、小松島商工会議所商業部会長=に相談したところ、NPO法人の設立を勧められた。松﨑さんも副理事長として、設立に向けた書類の作成などで協力した。

 16年の犯罪白書によると、15年に刑務所に再入所した受刑者は1万2803人で入所者全体の約60%を占め、社会復帰することの難しさを示している。

 吉﨑さんは「今まで多くの人に迷惑を掛けてきた罪滅ぼしとして、この事業に取り組みたい」と話している。