徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 マイコプラズマ感染症は激しい咳を特徴とする疾患の代表です。多くはマイコプラズマ肺炎の形を取ります。今月はマイコプラズマ感染症について考えてみました。

 マイコプラズマ肺炎はかつて4年毎に大流行を起こしてオリンピック病と呼ばれたこともあります。最近はこのような流行パターンが崩れて小流行を反復しています。

 マイコプラズマは細胞壁を持たない小型の細菌です。潜伏期間は2~3週間と長く、飛沫感染によって伝染します。マイコプラズマは下気道の線毛上皮細胞に付着して感染が成立します。この気道上皮における炎症や細胞障害は他の細菌よりも弱いのですが、ここで産生されるサイトカインと言う物質が免疫反応を介して肺炎を起こします。マイコプラズマは反復感染を起こすことによって免疫反応が強くなり、典型的な肺炎となります。

 マイコプラズマ肺炎は乳幼児には少ないとされていました。乳幼児にもマイコプラズマは感染しますが、マイコプラズマ感染症が肺炎になるのには宿主の免疫が関与します。免疫力が弱い乳幼児では肺炎になり難いと考えられます。

 マイコプラズマが感染した線毛上皮細胞の隙間から血管内に侵入すると呼吸器から離れた場所に運ばれて、そこで呼吸器系以外の症状を起こします。マイコプラズマの肺外病変として中耳炎、中枢神経疾患、血液疾患、皮膚疾患、骨格筋関節疾患、消化器疾患、急性腎炎、肝炎、膵炎が挙げられます。中でも多いのは中枢神経疾患で髄膜炎や脊髄炎などが見られますから注意が必要です。