ロシアのプーチン大統領が通算4選を果たした。

 任期は2024年までで、00年の就任以来、憲法規定で首相に退いた4年間を含めて四半世紀もの間、実権を握ることになる。

 大統領選では強い指導者像を前面に出し、圧勝を収めたが、国内外には多くの不安要素を抱えている。

 独裁色を強め、「大国ロシアの復活」を訴えるリーダーは今後、国際社会でどんな振る舞いをするのか。

 北方領土問題や北朝鮮への対応など重要な課題を共有する日本も、その動向から目が離せない。

 プーチン氏の得票率は76%を超え、過去3回の自身の選挙で最高となった。社会の混乱を解消し、安定と経済発展をもたらした実績、指導力で1強体制は盤石に見える。

 だが、長期政権による腐敗や汚職のまん延、強権統治を批判する声は少なくない。

 昨年6月に各地で起きた反政権デモには、数万人の若者が集まった。政権は1700人以上を拘束し、力でねじ伏せたが、その後も繰り返され、先月もモスクワで大規模なデモが行われた。

 不満は、停滞する経済にも向けられている。ロシア経済は17年に3年ぶりにプラス成長に転じたものの、市民生活の厳しさは変わっていない。

 国内総生産(GDP)が米国の約7%、中国の約11%と規模が小さい上、一部の特権層が富を独占しているためだ。貧困層は14年の1610万人から17年9月には2030万人に増え、全人口の約14%に達している。

 ガスや石油の資源に頼り、国営企業に依存した産業構造をどう転換させるのか。改革の手腕が問われよう。

 国民の不満をそらすかのように、プーチン氏は対外強硬策を進め、愛国心をあおってきた。14年のウクライナ南部クリミア半島の編入や、15年のシリア内戦への軍事介入などだ。

 今月1日の年次報告演説では、核戦力の増強を誇示し、「核兵器使用には直ちに報復する」と米国に警告した。

 米大統領選介入疑惑や英国での神経剤襲撃事件もあり、米欧との関係は「新冷戦」と呼ばれるほど悪化している。

 景気の低迷は、クリミア編入以来の米欧からの経済制裁が要因の一つだ。大統領選を終えたプーチン氏は、対外姿勢を軟化させるのではないかとの見方も出ている。大国の指導者を自任するのなら、世界の平和と安定に責任を持って行動するよう求めたい。

 北方領土問題の解決を巡っては、日ロ間で共同経済活動の具体化に向けた協議が進められている。安倍晋三首相は5月に訪ロし、プーチン氏と会談する予定だ。

 日本の主権を損なわない「特別な制度」で共同経済活動の実現を目指す日本と、自国の法制度の適用を求めるロシアとの隔たりは大きいが、粘り強く話し合いを重ねることが大切である。