新たに飼育ケージを設けたシカ牧場(中央のフェンス内)=那賀町小畠

 那賀町有害鳥獣捕獲対策協議会(会長・坂口博文町長)は、捕獲したニホンジカを一時的に飼育し、ジビエ(野生鳥獣肉)料理の食材として出荷する同町沢谷のシカ牧場を、近く同町小畠に移転する。これまでは山の斜面に全頭を放牧していたが、出荷する際に捕獲する手間が掛かることなどから、ケージでの飼育に切り替える。

新牧場は、坂州木頭川南岸の民有地約4千平方メートル。現管理人の亀井廣吉さん(68)が土地を無償で貸し、引き続き管理する。2頭同時に飼育可能なケージを8基設けるほか、周囲の斜面を高さ約2メートルの鉄柵で囲い、観光用を兼ねて数頭を敷地内に放す予定。

 移設費用は約140万円の見込み。餌代を含め、鳥獣害対策として県から受ける補助金を活用する。

 協議会は町や猟友会などで組織し、現牧場は2015年1月に開設。山の斜面約7千平方メートルを亀井さんから無償で借り受け、ネットで囲んでシカを放していた。これまでに食害防止で捕獲された60頭を受け入れ、20頭を同町横谷の四季美谷温泉などに出荷した。

 一方、敷地が広く狙ったシカがなかなか捕まらないといった問題があった。国道と町道に挟まれた位置にあるため車の通行におびえたり、縄張り争いや捕獲された際に負った傷が悪化したりして、飼育中に約3分の2が死んだという。このことから、移転とケージでの飼育を決めた。

 シカには、トウモロコシなどの配合飼料やユズの搾りかすを餌として与える。3~4カ月飼育すると、野生より脂肪が約3倍、鉄分は約1・4倍に増えることが、県立農林水産総合技術支援センター(石井町)の分析で判明している。

 協議会は「ジビエ料理の町として、今後も安定供給と肉質改善によるブランド力の向上に努めたい」としている。