立憲民主党と共産、自由、社民の野党4党が、「原発ゼロ基本法案」を国会に共同提出した。法施行後5年以内に、全ての原発の運転廃止を目指すのが柱だ。

 安倍政権は再稼働に積極的だが、東京電力福島第1原発事故はいまだに収束しておらず、安全性に対する国民の不安は大きい。

 今後、原発をどうしていくべきか。暮らしに不可欠なエネルギー政策はこのままでいいのか。避けて通れない課題であり、ゼロ法案は議論の第一歩となろう。与党は真摯(しんし)に向き合い、審議に応じてもらいたい。

 法案は廃止時期の目標に加えて、電力会社の損失補填(ほてん)など廃炉への支援や、立地地域の雇用創出、経済の発展に国が責任を持つと明記した。

 原発は国策として進められ、国民が電力を享受している。廃止すれば、事業者や立地自治体が受ける影響は大きい。国がその回避策を講じるのは当然だろう。

 核燃料サイクル事業からの撤退も盛り込んだ。

 使用済み核燃料を再処理し、通常の原発や、高速炉と呼ばれる特殊な原発で燃やすというのが核燃サイクルである。原発をなくせば推進する理由がなくなる。

 そもそも、再処理工場の操業と高速炉の開発はめどが立っていない。事業には既に数兆円がつぎ込まれている。撤退を含め、見直しの時期に来ているといえよう。

 原発に依存しない社会にするためには、太陽光や風力、木質バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーの普及が欠かせない。法案は、2030年までに、再生エネの割合を電気供給量の40%以上にする目標を掲げた。

 政府は14年に閣議決定したエネルギー基本計画で、30年度の再生エネの割合を22~24%としたが、普及に力を入れる欧米や中国などに大きく後れを取っている。

 40%以上はさらに高いハードルであり、どう達成するのか。電気料金の上昇を抑える方策や、電力の広域融通の態勢づくりなど、課題の解決に向けた具体策を打ち出す必要がある。

 法案は、電気の需要量を30年までに10年比で30%以上削減するという目標も盛り込んだ。その道筋も示さなければならない。

 政府のエネルギー基本計画は、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けている。だが、安全神話は崩壊し、発電コストが安くないことも明らかになった。

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場が決まらないまま、これ以上ごみを増やしていいのかという問題もある。

 日本世論調査会が先月行った世論調査では、原発を「段階的に減らして将来的にゼロ」「いますぐゼロ」にするとした人が計75%に上った。

 脱原発を求める声は高まっている。国民的議論を深めていきたい。