巣で餌を吐き出すコウノトリの雄。ひなに餌を与えているとみられる=22日午後4時すぎ、鳴門市大麻町

 ふ化した可能性が高いとみられる鳴門市大麻町のコウノトリの卵について、官民でつくるコウノトリ定着推進連絡協議会は22日、観察カメラの映像などに基づき「21日までにひなが誕生したと推定した」と発表した。野外でのひなの誕生は、国内で野生のコウノトリが絶滅した1971年以降、兵庫県豊岡市とその周辺以外では初めてとなる。卵は過去の繁殖例から複数個あるとみられているが、ひなの姿は確認できておらず、何羽生まれたかは分かっていない。順調に育てば、5月下旬にも巣立ちを迎える。

 協議会は調査チームを設け、2月18日に本格的な抱卵に入った鳴門のペアの行動を観察してきた。巣周辺に設置した観察カメラの動画も兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)などに提供し、判断を仰いでいた。

 兵庫県立大地域資源マネジメント研究科の江崎保男教授と大迫義人准教授の2人が21日の動画を分析。ひなに餌を与えるために胃袋から餌を吐き出す行動と、ひなが食べ残した餌を親鳥が食べ戻す行動がそれぞれ複数回確認されたため、同日までにふ化し、ひなが誕生したと推定した。

 鳴門のペアは兵庫県内で生まれた5歳10カ月の雄と3歳10カ月の雌で、2015年2月に飛来。今年1月末に3年連続で繁殖行動を取り、2月中旬に昨年に続いて産卵した。ふ化は本格的な抱卵から約1カ月後の今月20日前後とみられていた。

 22日、ペアは交代で近くの畑に餌を取りに行き、巣ではひなに餌を与えるために吐き出す行動を見せた。

 協議会はペアが子育てに専念し、ひなが無事に巣立ちできるよう、巣から半径400メートルの立ち入り制限区域内での撮影や観察の自粛を呼び掛けている。