タヌキの妖怪伝説を冊子にまとめた下岡さん=三好市池田町川崎

 三好市山城町の住民団体「四国の秘境 山城・大歩危妖怪村」が、地元に残るタヌキの妖怪伝説を紹介する冊子を作った。これまでに2回、妖怪タヌキにちなんだ催しを開いたところ好評だった一方、地元でも案外知られていないタヌキの怪異譚(たん)も多い。そこで冊子にして手に取ってもらい、より広く親しんでもらおうと企画した。4月にJR土讃線で観光列車「四国まんなか千年ものがたり」が運行されるのに合わせ、土産物の目玉にしたい考えだ。

 「おもしろ やましろ たぬき話」(B5判、50ページ)と題し、妖怪タヌキの伝承や火の玉の目撃談など約80話を挿絵入りで収録した。
 庶民の味方で知恵者の「青木藤太郎」や美人で知られた「おそめちゃん」など、おなじみの妖怪タヌキが登場。列車に化けた「大門の汽車狸(だぬき)」、曲がりくねった道路を真っすぐに見せる「七曲がり狸」といった地名になぞらえたタヌキや、提灯(ちょうちん)の明かりが行列をなしたという「葬式狸」など、バラエティーに富んでいる。

 妖怪伝説の掘り起こしを続けている下岡昭一さん(80)=同市池田町川崎=らが、住民に聞き取りして集めた。古老らが町内で実際に体験したり、見聞きしたりことを強調するため、伝承を語った住民の名前を明記。子どもにも親しんでもらえるよう、挿絵は下岡さんがサインペンで描き、塗り絵としても使えるように工夫した。妖怪タヌキや火の玉の現れた場所がひと目で分かる地図も添えた。

 同市山城町では2015年11月と16年10月に「やましろ狸まつり」が開かれ、にぎわった。町内の妖怪伝承約170話のうち、約70話をタヌキ関連が占めるが、その多くは地元でも知られておらず、下岡さんらが冊子によるPRを発案した。下岡さんは「タヌキに化かされた話も立派な地域資源。町内外の人に知ってもらい、観光振興に役立てたい」と話している。

 1部600円。2千部作り、同市山城町上名の「道の駅大歩危」などで販売中。観光列車停車駅の阿波川口駅(同市山城町大川持)や近くの商店にも置く。