南海トラフ巨大地震発生時の前線基地として、県警が防災機能を強化している牟岐署=牟岐町中村

 徳島県警は、現在13ある警察署を10署に統合する再編計画に、南海トラフ巨大地震対策を盛り込んだ。廃止後の署の庁舎を活用し、救助・捜索活動の部隊を置いたり、津波で被災する可能性のある沿岸部の署をバックアップする機能を持たせたりする。地震の発生確率が高まる中、県警は計画の実現を急ぐ考えだ。

 再編計画では、2018年4月に板野署を徳島北署に、石井署を徳島西署にそれぞれ統合し、20年4月をめどに那賀署を阿南署に統合する。21年3月には徳島東署を、県警本部が被災した際のバックアップ機能を持つ新庁舎に建て替える。

 板野署を廃止した後の庁舎には四国管区機動隊を配置する。庁舎から約2キロ以内に高松自動車道の板野インターチェンジ(IC)と徳島自動車道の藍住ICがある立地を生かし、高速道路を使って被災地に素早く部隊を向かわせるのが狙いだ。

 乗客106人と運転士が死亡した05年の尼崎JR脱線事故では、高速道路で現場に向かった大阪府警第3機動隊が、地元の兵庫県警機動隊より早く到着した。こうした事例などから、高速道路の有効性に着目した。

 また、関西方面の他府県警からの支援部隊や物資の受け入れ基地としても活用する。

 南海トラフ巨大地震では、沿岸部の署が軒並み津波で被災する恐れがある。津波被害が想定されていない石井、那賀両署は統合後も庁舎を残し、沿岸部の署へのバックアップ機能を持たせる方針で、資機材や備蓄物資の増強などを検討している。石井庁舎には運転免許センター(松茂町)に置いている広域自動車警ら隊を移す。

 一方、最も大きな被害が想定される牟岐署は、県警が解消を目指していた小規模署(署員50人以下)の中で唯一残すことにした。被災時の前線基地としての役割を重視したためで、太陽光発電装置を設置するなど防災機能の強化を図っている。ただ、最大クラスの津波だと浸水被害が想定されており、その場合は近くの高台にある寺院に代替施設を設ける準備をしている。