北井上西部土地改良区と関連団体の北井上西部環境保全協会(いずれも徳島市国府町西黒田)の約1千万円の使途不明金のうち、協会の貯金口座から670万円を着服したとして業務上横領の疑いで逮捕された改良区前理事長の鎌田穗積容疑者(72)=同市国府町西黒田、無職=が、県警の調べに「横領した金は自分のために使った」と供述していることが8日、捜査関係者への取材で分かった。県警は、同容疑者に多額の借金があり、返済などに充てたのではないかとみて調べている。

 捜査関係者によると、県警が1月に任意で事情聴取した際、鎌田容疑者は使途不明金の着服について「(揚水場改修の事前調査をしてもらった)コンサルタント業者の接待などに使った」と否定していた。だが、接待の事実は確認できず、同容疑者は逮捕後に説明を一転させて「接待に使ったのではなく、自分のために使った」と供述している。県警は横領金の具体的な使い道を調べている。

 鎌田容疑者は、中止された吉野川第十堰(ぜき)の可動堰化計画などの公共工事を見越した土地の購入や、園芸事業の失敗などで多額の借金を抱えていたという。これらの借金が、着服を繰り返した背景にある可能性がある。

 県などの調査では、土地改良区と協会には逮捕容疑のほかにも2015年度に計318万9千円の使途不明金がある。改良区の活動資金は組合員の賦課金を充てている。協会の活動資金は国や県などからの交付金で、逮捕容疑となった計670万円は全額が交付金となっている。

 改良区関係者によると、使途不明金の中には、出金する際に本来必要な支出命令書や支出伺の会計書類が残っていないケースがあった。適正な会計手続きが取られないまま鎌田容疑者の一存で不正な出金が繰り返されていた疑いがある。