学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、国会が佐川宣寿前国税庁長官を証人喚問した。

改ざん当時の理財局長だった佐川氏は、安倍晋三首相や昭恵首相夫人、官邸などからの指示を否定し、「理財局の中で行った」と述べた。

一方で、誰が改ざんを指示したのかや、首相や昭恵氏らの名前を文書から削除した理由などについては、刑事訴追の恐れがあるとして証言拒否を連発した。

これでは、真相の解明は程遠いと言わざるを得ない。

国会は引き続き、昭恵氏や夫人付政府職員だった谷査恵子氏、国有地売却交渉時の理財局長である迫田英典氏らの証人喚問を実施すべきだ。

改ざんは14件の決裁文書で、約300カ所に及んでいた。国会に提出した文書であり、あまりに重大な背信行為である。果たして、理財局だけで判断できることなのか。

佐川氏は、外部に相談せず局内で行ったと言い切った。答弁通りなら、佐川氏か他の局幹部職員が指示したことになる。

ところが、佐川氏は改ざんの経緯について一切言及しなかった。虚偽公文書作成容疑などで告発され、捜査の対象になっているとはいえ、これで納得してほしいというのはとても無理な話である。

不誠実極まりない対応で、疑念はますます深まったといえよう。

決裁文書から全面的に削除されたのは、昭恵氏や政治家らが絡んだ記述だった。

昭恵氏に関する箇所では、籠池泰典前学園理事長の「夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」という発言が消えていた。籠池氏と昭恵氏が並んだ写真もなくなっていた。

なぜ削除する必要があったのか。昭恵氏を巡っては、夫人付の谷氏が籠池氏の要請を受けて、財務省に国有地賃料の優遇制度について問い合わせた経緯がある。

首相は昨年2月、自身や昭恵氏の関与があれば「首相も議員も辞める」と国会で答弁した。

佐川氏は、その影響はなかったとし、首相や官邸への忖度(そんたく)だったという見方を否定したが、説得力に欠ける。

森友問題の本質は、国有地が約8億円も値引きして売却された背景に何があったのかである。

佐川氏は値引きに関しても、首相周辺や昭恵氏、官邸などの関与はなかったと証言した。だが、そう断言できる根拠は、局内の職員から事実関係を聞いたからだという。

改ざんは理財局の判断で行い、値引きしたのも正当で、政治家からの圧力や忖度はなかった。当時の担当局長として責任は痛感しているが、改ざんの経緯は言えない―。そんな答弁は、国民軽視も甚だしい。

国会には疑問点を徹底究明する責務がある。