慰霊碑に献花するヴェルナー・ケーラー総領事(中央)ら=鳴門市大麻町のドイツ村公園

 ベートーベン「第九交響曲」がアジアで初めて演奏された板東俘虜(ふりょ)収容所(鳴門市大麻町)が開設から100周年を迎えた9日、収容所跡地のドイツ村公園で記念式典が開かれた。大阪・神戸ドイツ総領事館のヴェルナー・ケーラー総領事(62)や徳島県、市の関係者ら約100人が、収容所で亡くなったドイツ兵の慰霊碑に献花し、不戦の誓いを新たにした。

 式典で、ケーラー総領事は「数ある中で、このようにお祝いできる収容所はそうない。板東の地から戦争に反対し、平和を推進していくムーブメントが起きればいい」とあいさつ。飯泉嘉門知事や泉理彦市長らと一緒に慰霊碑に花をささげ、板東収容所と、同収容所に統合された四国内の3収容所で亡くなったドイツ兵11人の冥福を祈った。

 市内外の子どもでつくる合唱団「うたの広場NKB」が、第九の「歓喜の歌」を響かせる中、参列者が白菊を供えた。

 一般の参加者も見られ、同市北灘町櫛木の病院職員小川良幸さん(47)は「シリアや北朝鮮情勢が緊迫化する中、記念式典が100年前に培われた友好の歴史を世界に発信する機会になれば」と期待した。

 市ドイツ館では記念コンサートが行われた。県内の音楽愛好家でつくる徳島エンゲル楽団が、板東収容所に到着した仲間を出迎える際にドイツ兵が演奏した行進曲「旧友」などを披露し、約250人が聞き入った。

 板東俘虜収容所は1917年4月9日に徳島、丸亀、松山の3カ所の収容所を統合して開所した。松江豊寿(とよひさ)所長(1872~1956年)のドイツ兵に対する人道的な処遇から、さまざまな文化活動が行われ、翌年6月1日、ドイツ兵によって「第九」がアジアで初演された。