森友学園に関する財務省の決裁文書改ざん問題で、野党6党が安倍昭恵首相夫人らの証人喚問を要求している。

 昭恵氏は、学園が大阪府で建設を予定した小学校の名誉校長に一時就任していた。国有地売却問題では、昭恵氏の影響の有無が焦点である。

 昭恵氏の名前は改ざん対象の決裁文書14件のうち、貸し付け関連の文書2件に見られた。削除前は、学園の籠池泰典前理事長の発言として「昭恵夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と記載されていた。

 決裁文書の改ざんの際に、昭恵氏の名前が全て削除されたのはなぜなのか。

 佐川宣寿前国税庁長官は証人喚問で、安倍晋三首相や夫人の昭恵氏の名前を文書から削除した理由を「経緯に関わる」として答えなかった。昭恵氏に関する記述の確認についても証言を拒んだ。

 これでは、真相が分からない。野党が昭恵氏の喚問を求めるのは当然である。

 安倍首相は国会で繰り返し、自身や昭恵氏の関与を全面的に否定してきた。「私や妻が一切関わっていないと申し上げてきた」などと述べたが、説得力に欠ける。

 森友問題などについて首相は「丁寧に説明する」と明言したはずだ。

 そうであれば、昭恵氏本人が国会の場で質問に答えることが、国民との約束を果たす道ではないか。

 立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の6野党は、昭恵氏に加えて<1>学園との国有地売買交渉時に財務省理財局長だった迫田英典氏<2>昭恵夫人付の政府職員だった谷査恵子氏<3>政務担当の今井尚哉首相秘書官-の証人喚問を最優先に求める方針を決めた。

 野党は改めて昭恵氏らの喚問を要求したが、自民党は拒否した。だが、真相究明が不十分だとして、信頼回復への努力を求める声が党内にもある。石破茂元幹事長は派閥の会合で「多くの国民が『よし分かった』ということには遠い」などと述べた。

 改ざん問題を受けた最近の世論調査で内閣支持率が急落したのは、いかに国民が重く見ているかの証しである。支持しない最も大きな理由として、「首相が信頼できない」という回答がほぼ半数を占めている。

 麻生太郎財務相が、参院財政金融委員会で「森友の方が環太平洋連携協定(TPP)より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と発言したのには、驚かされた。

 翌日、麻生氏は「森友と比較したのがよろしくないという点については反省する」と語った。

 安倍政権は国政選挙で連勝し、衆参両院で圧倒的な議席を確保している。そのおごりが、閣僚の発言に表れているのではないか。

 国民の声に耳を澄まし、謙虚な姿勢で説明責任を果たしてもらいたい。