昨年5月に美馬市の三頭トンネルでワゴン車を居眠り運転し、対向の軽乗用車と衝突して5人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた前美馬市長の牧田久被告(75)=同市美馬町柿木、無職=の判決が24日、徳島地裁(坂本好司裁判長)で言い渡される。検察側は結果の重大性から禁錮7年を求刑しており、被害者遺族の処罰感情や社会に与えた影響をどう考慮して量刑を示すのかが焦点となる。

 公判で牧田被告は起訴内容を認め、謝罪や反省の弁を述べた。牧田被告に事故の責任があることについて検察側と弁護側で争いはないが、居眠り運転に陥るまでの過失の程度を巡り双方の主張が異なっている。

 検察側は、牧田被告が眠気を感じてから事故現場まで向かう間に休憩できる場所が複数箇所あったとして「被告は前方注視が困難な状態に陥ったのに運転を中止する義務に違反した。過失は一方的で重大だ」と指摘している。

 これに対して弁護側は、牧田被告がトンネルに入ってから車のライトを点灯していることから、居眠り運転で危険な状態に陥ったのはそれほど長くなかったと主張。「誰もが陥りがちなことで、著しく悪質とは言えない」と擁護している。

 公判では、遺族の処罰感情の厳しさも示された。遺族は遺影を手に傍聴し、両親を亡くした娘の1人は意見陳述で「思い出すたびに心が切り刻まれる。一番厳しい処罰をお願いします」と訴えた。

 起訴状などによると、牧田被告は昨年5月5日午後4時14分ごろ、美馬市美馬町上野田ノ井の三頭トンネルでワゴン車を運転中に居眠り状態に陥り、中央車線をはみ出して、対向の軽乗用車と正面衝突した。軽乗用車に乗っていた高松市の70代の男女4人のうち男女3人を死亡させ、女性1人に6カ月の重傷を負わせた。ワゴン車に同乗していた牧田被告の70代の妻にも2カ月の重傷を負わせたとしている。

 牧田被告は事故の責任を取って昨年5月16日付で市長を辞職し、市政運営に大きな影響を与えた。