徳島と本州を陸路で結ぶ明石海峡大橋が開通して、きょうで20年になる。

 世界最長のつり橋は、新たな交流の時代を築き、経済圏を拡大させる基盤となっている。本県の発展を支えてきたことは言うまでもない。

 架橋効果をさらに高めて、未来を切り開く力にしていかなければならない。

 四国と関西を結ぶ大動脈としての存在感を物語るのは、通行台数だろう。開通後の10年間は、年間800万~900万台ほどで推移していたが、2015年度には年間1300万台となり、17年8月には累計2億台を突破した。その役割は年々、重要さを増している。

 「平成の大関所」と呼ばれた割高な通行料金が、割引制度の適用や14年度の全国共通料金制度導入で大きく是正されたことは、利便性を高めた最大の要因だろう。

 架橋によって、時間的な距離が大幅に短縮されただけでなく、徳島から農水産物や工業製品などが安定的に出荷されるようになった。

 本紙連載「検証 明石架橋20年」に、架橋で生産量を伸ばした水産物や畜産物の代表例が示されているが、鮮度を保ったまま食卓に届けようという研究や工夫の跡もうかがわれた。

 開通に合わせて開館した鳴門市の大塚国際美術館も新企画を次々に打ち出し、集客力を強めている。

 しかし、光は影を伴う。人やモノの交流が活発化するなどの架橋効果は表れているが、開通前から懸念されていた課題は依然、克服されていない。

 阪神への買い物客の流出によるストロー現象は、その一つだ。一部の地域には移住人口の増加がみられるものの、徳島市内の中心市街地の衰退に歯止めはかかっていない。

 企業誘致も、描いたようには進まなかった。バブル崩壊後の不況の時期に重なり、生産拠点の海外移転が進んだことも響いたが、成果は見えてこない。

 観光面でも苦戦が続く。京阪神からの交通の便の良さに加え、宿泊施設が全国で最も少ないこともあり、17年の県内宿泊者数は最下位だ。

 元観光庁長官の溝畑宏大阪観光局理事長の話は参考になろう。先日、徳島市で講演し、関西空港を利用する年間700万人の外国人客のうち、四国を訪れるのは1%と指摘した。その上で「関西に来る客を取り込むことが大事。徳島の地域性を生かし、四国の玄関口となって10%を目指すべきだ」と説いた。

 本格的な人口減少時代を迎えて、インバウンド(訪日外国人客)をどう呼び込むか。何より、観光資源に磨きをかけ、発信していきたい。四国他県、関西などとの連携も進め、新たな交流の歴史を築いていくことが重要だ。

 次代を開くのは、県民の知恵と意欲である。架橋効果を生かし切る方策を探らなければならない。