議会は民主政治に欠かせない。このまま人口減少が進めば、地方議員のなり手が少なくなり、議会の存続が危ぶまれる。

 議会の在り方について、総務省の有識者研究会が、小規模な市町村議会が規制緩和を伴う新たな仕組みを選べるようにする報告書をまとめた。

 住民に最も身近な市町村議会の機能を維持、活性化させようとする取り組みは時宜にかなっているといえよう。

 報告書は「多数参画型」「集中専門型」という二つの仕組みを示した。多数型では、今以上に兼業や兼職を容易にして活動しやすくする。集中型では、議員数を減らす一方で本業になるくらいの報酬を支給する。

 具体的には、多数型は、議員が本業の仕事と両立できるよう夜間や休日に開く。なり手の対象を広げるため、自治体と請負関係がある企業役員らの立候補を禁じた兼業・兼職規制を緩和。同時に、公正さを保つため、契約案件を議決対象から外す。

 集中型は、議員報酬を専業で生活可能な水準に引き上げ、議員数を減らす。活発な議論を促すために、有権者から複数の「議会参画員」を選び、議案審議に加わってもらう仕組みも設ける内容だ。

 これらに現行制度を加えた3パターンが選択肢となる。だが新たな仕組みには、疑問もある。議員の数が減ることで行政に対する監視力が弱まらないか、兼業・兼職制限を緩和して本当に不正が起きないのかといった点だ。報告書に十分な説明はなく、さらに検討する余地があろう。

 地方議会側の抵抗は強い。地方の意見を聞かず、政府主導で報告書が策定されたこともあって「市町村議会を軽視している」「地方分権改革に逆行する」との批判が各地で上がっているようだ。

 政府は来年の通常国会で地方自治法を改正する方針だが、地方議会側の反発を受けて野田聖子総務相が、制度改正は議会団体の意見を聞いた上で判断すると約束したのはもっともである。

 そもそも有権者研究会が議論を始めたのは、人口約400人の高知県大川村が昨年、議会を廃止し、議案を有権者で決める「総会」を設置することを検討したのがきっかけだった。

 なり手不足は徳島県内も例外ではない。那賀町や上勝町では改選のたびに定数割れの恐れが生じる。那賀町は2013年、上勝町は15年に無投票だった。人材確保の一策として議員報酬の引き上げを検討する動きも散見され、東みよし町は3万円アップを今年3月に議決している。

 現時点で町の動きは限られているが、ますます人口が減れば、どの自治体も深刻な課題として向き合わなければならなくなるはずだ。地方議会は報告書に対し、ただ反発するだけではいけない。

 自分たちの地域の議会はどうあるべきか。自治を考える契機にしたい。