震度7を2度記録した熊本地震は、最初の激震発生からきょうで丸2年となる。被災地の道路や交通網などのインフラは着実に復旧し、新たな町づくりも始まっているが、自宅を失った人の多くはいまも仮設住宅などでの生活を余儀なくされている。

 復興は依然、途上段階であり、中長期的な施策と支援が必要だ。

 仮設住宅や、行政が民間のアパートなどを借り上げる「みなし仮設住宅」で暮らす被災者は、3月末時点で3万8千人もいる。最も多かった昨年5月時点より2割減ったものの、この先大きく減る見通しは立っていない。

 みなし仮設は見知らぬ土地での暮らしを強いられる場合が多く、孤立や孤独死を誘発しかねない。住まいは生活の基盤となるだけに、行政は被災者の希望を吸い上げて丁寧に対応してもらいたい。

 大きな被害を受けた観光地には、徐々に明るさが戻っている。阿蘇山の山上につながる道路は複数のルートで通行が再開された。全面改修が進む熊本城には地震前を上回る観光客が訪れているという。被災地域の経済的な支えになるし、住民の励みにもなるだろう。今後も積極的に足を運びたい。

 見過ごせないのは、212人(3月30日時点)に及ぶ「震災関連死」の問題だ。先月末にも、特別養護老人ホームに移って生活していた90代の女性が亡くなっている。

 関連死の多さは発生1年の時点でも問題視されていたが、この1年間でさらに42人が命を失った。建物の下敷きになるなどして50人が犠牲となった「直接死」の4倍だ。

 みなし仮設暮らしの多さとの相関もあるとされる。ストレスなどの心的負担をケアするため、熊本県内では自治体の枠を超えて見守り支援をする画期的な取り組みも注目されたが、犠牲を防ぐことができなかった。この結果を重く見なくてはならない。

 有形無形の被災地支援を継続するのと併せて、熊本地震の教訓を忘れてはならない。直下型地震への備えをいま一度確認しておく必要がある。 震度7の激しい揺れは、発生確率が低いとされていた活断層で起きた。徳島県内にも鳴門市から三好市にかけて複数の活断層が連なる「中央構造線断層帯」があり、警戒が要る。

 中央構造線を震源とする直下型地震について県が昨年公表した被害想定では、最悪の場合12万6400棟の建物が全半壊・焼失し、死者は3440人に達する。だが耐震化を進めることで、死者を9割以上減らせるとしている。

 直近の2013年総務省調査によると、県内住宅の耐震化率は77%。県は20年度末までに耐震化率を100%に引き上げる計画だが、一刻も早く実現できるよう手を尽くさなければならない。

 尊い犠牲を無駄にしないようたゆまず検証し、不断の対策を講じることが大切だ。