大規模な金融緩和政策からどのように抜け出し、正常化を図っていくか。2期目がスタートした黒田東彦(はるひこ)日銀総裁の最大の使命は「出口戦略」に道筋をつけることだ。

 現行政策は円安・株高を実現、雇用環境も好転するなど一定の成果を上げている。しかし、目標の物価上昇率2%は果たせておらず、政策の長期化により財政規律の緩みや銀行経営の圧迫といった副作用が拡大している。

 黒田総裁は出口戦略について「時期尚早」と述べ、物価目標2%達成に向けて大規模な緩和策を粘り強く続けると強調した。

 リスクの大きい政策をいつまで続けるのだろう。金融専門家や市場関係者の間にも危惧する声が多くなっている。急激な政策変更は混乱をもたらすだけに、早めに手だてを考えるべきだ。

 世界経済が好調なこともあり、国内景気は長い回復局面が続いているが、ここにきて陰りも見え始めている。

 米中貿易摩擦や米国の高関税への要求などで日米とも株価が不安定化し、円高圧力も再燃の兆しが出てきた。

 日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)では大企業製造業の景況感が2年ぶりに悪化した。一方で、2月の消費者物価上昇率も前年同月比1・0%と目標の半分にとどまっている。

 今後は、東京五輪・パラリンピック関連の建設需要が一巡するほか、2019年10月には消費税率10%への引き上げが控えている。

 黒田総裁と二人三脚でデフレ脱却に取り組んでいる安倍晋三首相の足元もおぼつかなくなってきた。行政組織の不祥事が相次いで発覚し、求心力が低下しているのだ。

 先々の景気後退リスクを考えれば今のうちに金融政策の正常化へ向けた議論を始め、市場の理解を得ていく必要があろう。

 本来は2年間の予定だった超低金利政策が長期化したことで、民間銀行の収益が悪化している。各行にとっては、将来にわたってどう経営基盤の安定を図っていくかが喫緊の課題だ。

 黒田総裁は「銀行の経営には現時点で問題はない」と述べたが、違和感を覚える。どこかで金利を上げていかないと持続可能な経済を維持することは難しい。

 国債や上場投資信託(ETF)の買い入れへの懸念も強まっている。

 17年末の日銀の国債保有額は12年末の約4倍、国債を含む日銀の総資産は17年末時点で521兆円に達した。ETFは16年7月から年6兆円のペースで買い進めている。

 国債はともかく、株はいつかは売るしかない。買い入れ額や株の処分を検討する時期にきているのではないか。

 資産が大きくなれば出口でのダメージも大きくなる。黒田総裁にはリスクが顕現化しないよう政策を修正し、国民に丁寧に説明していく姿勢が求められる。