地域の子どもらに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」が全国2286カ所で開かれていることが、支援団体「こども食堂安心・安全向上委員会」の調査で初めて分かった。

 地域住民が主体となって運営する子ども食堂は、2012年に東京都内で始まったとされる。子どもの貧困や一人きりで食事をする「孤食」の増加が問題視され、子どもたちを支えようという共感が全国に広がった。年間利用者は推計で100万人を超える。

 まさに「子どもを地域で育てる」という善意の広がりである。活動がさらに拡充するよう願う。

 徳島県内では、主婦を中心とした有志が16年3月に徳島市で開いたのが最初だ。NPO法人や飲食店主が後に続き、今回の調査では7カ所とされたが、県によると徳島、三好、板野の3市町計8カ所で定期的に開設されている。

 運営は寄付金や食材の無料提供で成り立っている。一部を自腹で賄うケースもあるという。調理や子どもの相手をするスタッフは大抵が無償のボランティアだ。私心のない取り組みに頭が下がる。

 ただ、子どもたちに身近で安心できる場所だと感じてもらうためには、開設が8カ所というのはやはり寂しい。四国他県との比較でも高知51カ所、香川15カ所、愛媛13カ所を下回っている。

 数を増やすためには、さまざまな課題を克服しなくてはならない。運営に充てる寄付金などは潤沢とはいえず、どこもやりくりに四苦八苦している。万が一の事故に備える保険に加入するとなれば一段と費用がかかる。ボランティアを確保するのもそう簡単ではない。

 全国に共通する悩みであり、乗り越える方法を探らなければならない。

 国や自治体に教育、生活、経済的支援などの責務を課した「子どもの貧困対策法」が14年に施行された。子ども食堂が急増した背景には、同法を踏まえて自治体が開設を後押ししたこともあるようだ。

 個人や小規模な団体が活動を続けていくには限界がある。行政が支援する意味は大きい。高知県や奈良県は昨年度、食材購入などに補助金を交付する事業に取り組み、利用が相次いだ。

 徳島県は「現時点で資金面の支援をする予定はない」(次世代育成・青少年課)としている。だが、運営者からは「赤字続きなので行政の支援があれば助かる」とのSOSも上がっている。県内の自治体も運営者の切実な声をすくい上げ、事業に反映してもらいたい。

 子ども食堂は当初、子どもの貧困対策として注目された。しかし、孤食は若者やお年寄りにも見受けられるとあって、今や多世代によるだんらんや交流の拠点としての役割も期待されている。

 官民を問わずさまざまな人が関わり、息の長い活動として定着させていきたい。