マイクロバスにトラックが追突し、2人が死亡した事故現場で負傷者の状況を確認する救急隊員ら=25日午後6時半、鳴門市大津町大幸の徳島自動車道

 専門学校の体験入学に参加し、将来への希望に胸を膨らませていた高校生たちが突然の悲劇に襲われた。25日、鳴門市の徳島自動車道で16人が死傷した追突事故。マイクロバスはガードレールをなぎ倒し、道路脇下で横倒しになった。車の後方はつぶれ、追突で受けた衝撃のすさまじさを物語っていた。割れた窓などから脱出した被害者は、「何が起きたのか分からなかった」と声を震わせた。

 「アクセルが効かなくなった」。マイクロバスに乗っていた生徒によると、事故前、死亡した運転手、岡本勉さん(30)=阿波市阿波町=はそう話し、代替車が来ることを告げた。岡本さんは車を路肩に止め、車外に出てバス会社関係者に電話していた。

 前から2列目に座り、停車中にうとうとしていたという男子高校生は「気が付いたら、バスがすごい勢いでごろごろ転げていた」と、顔をこわばらせた。車内に悲鳴やうめき声が響き、荷物や人が折り重なった。

 男子高校生はシートベルトに引っかかって宙づり状態になり、無我夢中でベルトを外して前方のドアから外へ。飛び散った無数のガラスを浴び、目の下を3針縫うけがを負った。「全員がガラスの破片を浴びて、きらきら光っていた。皆血だらけだった」と振り返った。

 亡くなった富岡西高1年の森下汐音(しおん)さん(15)は、後部の席に座っていたとされる。バスの後方は車体がひしゃげており、その近くに集まった数人が、閉じ込められているとみられる生徒の名前を叫んだり「頑張れ」と声を掛けたりしていた。

 現場には消防の救助車両や救急車が次々と到着し、救助隊員らが慌ただしく走り回った。レンコン畑が広がるのどかな風景は一変し、騒然となった。

 現場のすぐ西側に住む女性会社員(52)は事故の衝撃音を聞き、家を飛び出した。「近くで爆発が起きたのかと思った」。高速道路に目を向けるとバスが転がり落ち、追突したトラックがのろのろと停車するのが見えた。

 女性宅の向かいに住むパート従業員、松浦裕子さん(32)は衝撃音を聞き、110番。家から飲み物を持ち出して被害者に飲ませたり、冷たいタオルで傷口を拭いたりした。生徒らは高速道ののり面にぼう然と立ち尽くし、泣いている人もいた。