北朝鮮が、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止や、核実験場の廃棄を発表した。本当に核放棄の意思があるのかどうか、まだ判断できないが、非核化へ一歩を踏み出したのは間違いないだろう。

 国際社会は結束してこの動きを加速させ、より確かなものにしなければならない。

 朝鮮労働党の中央委員会総会で決定した。これまでの核開発と経済建設を同時に進める「並進路線」から、経済建設に総力を挙げることも打ち出した。

 戦略の大転換である。金正恩(キムジョンウン)党委員長自身が国内向けに発表した影響は小さくない。同時に、首脳会談を控えた米国や韓国に対するメッセージの意味もあるのではないか。

 トランプ米政権は非核化と並んで、米本土を射程に収めるICBMの開発阻止を最優先にしている。発射実験の中止表明でトランプ氏との初会談に向けた環境をひとまず整えた形だ。

 また、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は核・ミサイル活動の凍結を当面の目標とし、次の段階で完全放棄を目指す「段階的・包括的アプローチ」が持論だ。この立場にも歩調を合わせたと言える。

 一方、日本にとっては不満の残る内容である。ミサイル発射実験の中止対象に、日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイルが含まれなかったほか、核実験場の廃棄も核放棄に直結するものではないからだ。

 新方針は日米韓への揺さぶりともみられ、楽観はできない。非核化への具体的な動きがあるまで制裁を続けるべきだ。